人形になることを願ったドーロット【グリムノーツ最終考察#7】

そみん
公開日時

 スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『グリムノーツ Repage(リ・ページ)』の物語がいよいよ完結します。

 その物語をより楽しめるよう、ストーリーの流れをまとめつつ、物語の背景を読み解く考察記事をお届けします。

※本記事内には物語のネタバレを含む表現がありますので、ご注意ください。

ドーロット(声優:植田佳奈)について

●プロフィール

 「完璧な人形」に拘る天才人形師。フラムベイユなど、命を宿した人形をも生み出すことができる。錬金術にも手を染めており、その過程において『空白のホムンクルス』を生み出した。人形を作り続ける彼女の目的、それは自らを人形に変え、永遠の存在になることである。

●プロフィール(オリジン)

 人形師は、かつて創造主たちと共に旅をしていた。彼らに人形の肉体を与え、数々の物語の世界を渡り歩いたが、人形師の名前が後世に語られることはない。しかし、人形師が残したものは、時代が変わっても残り続ける。こうして人形師は、創造主たちと同じ永遠をこの世に残した。

 かつてグリムノーツと行動をともにした人形師の女性・ドーロット。命を宿した人形(フラムベイユなど)を手掛けた天才人形師であり、その最終目的は自らを人形に変え、永遠の存在になること。


 そのため、“完璧な人形”にこだわっており、錬金術にも手を染めた。その研究過程で“空白のホムンクルス”を生み出し、グリムノーツの創造主たちに肉体を与えた。

 彼女が初めて登場したのは、『リ・ページ』の5想区(ピノキオの想区)でのこと。レヴォルたちがピノキオとゼペットの家を訪れると、そこで人形とともに家の中にいたのがドーロットだった。
(なお、ここで出会ったドーロットは本人ではなく、グリムノーツと旅した原点となる人物から派生した“運命の書”を持つ存在。“空白の書”の持ち主が死んだとき、彼らの歩んだ足跡は物語として、“運命の書”の原典となる)

 ピノキオもドーロットを知らなかったため、不法侵入者かと思われたが、実際はゼペットの古くからの知り合いだった。
(ただし、ゼペットいわく「いいか? お前の近くにどんな悪党が近づいてこようと絶対にドーロットとは口をきくんじゃねーぞ。あいつは性悪で、冷酷な、人間らしい心なんて持っていない、人形女だ」とのことだったが……)


  • ▲初めて出会った際は、ドーロットがグリムノーツと関連していることは明かされなかった。ただ、エレナは無意識下にドーロットのことを覚えていたようだ。

  • ▲ゼペットが作ったピノキオもまた、“完璧な人形”を目指していた。

 その後、ドーロットはピノキオの足を直し、彼が“完璧な人形”になるための交換条件として、自分が作った人形のフラムベイユを連れ戻すことを依頼するのだった。




  • ▲意思を持つ、生きた人形のフラムベイユ。彼女は人間を人形に変える、人形たちの反乱に加担していた。

 フラムベイユを回収して街に戻ったレヴォルたちは、ピノキオの家が焼け落ちてしまった場面に遭遇する。そして、そこに残された手紙から、ドーロットが不遜な態度をした貴族の子供(シャルル・ペロー)からエレナたち“再編の魔女一行”のことを聞いていたことが判明する。
(このドーロットは本人ではないため、シャルルの名前も正体は知らなかった)

 ドーロットの手紙には、フラムベイユの持つぬいぐるみに隠された玉(ガラティアの心臓)を使えばピノキオを“完璧な人形”にできること、そしてもう1つの玉は“幸せの国”にいるもう1体のフラムベイユが持っていることが書かれていた。

 なお、ガラティアとは、ある彫刻家が作った石像の美女の名前。彫刻家は自らが生み出した作品に恋をし、彼女が命を宿すように願った。やがて願いは聞き届けられ、石像は命を宿し、彫刻家の妻となったという。


  • ▲ピノキオの胸に玉(ガラティアの心臓)をあてると、それまでの足がはずれ、“完璧な人形”としての新しい足が生えてきた。

 ドーロットの助言に従い“リ・ページ”を行い、“幸せの国”を目指すレヴォルたち。このとき、なぜかピノキオの記憶が“リ・ページ”をしても失われなかったことに一行は違和感を持つ。また、そもそも本来は“運命の書”を持つ者しか入れない“沈黙の霧”の中でピノキオが行動していたという疑惑もある。

 想区の住民はリ・ページで時間が巻き戻り、記憶も戻るが、例外的に“空白の書”の持ち主か創造主、イマジンなどは記憶を持ち越すことができる。そしてピノキオは、“空白のホムンクルス”に魂を宿している状態(つまり、グリムノーツメンバーと同じ状況)なので、“沈黙の霧”に入ることができ、“リ・ページ”によって記憶を失うこともなかったのである。
(余談だが、この想区のドーロットは本人ではないので、“リ・ページ”のたびに記憶を失っているが、“空白のホムンクルス”に魂を宿しているシャルル・ペローは記憶を保持できるので、彼がドーロットに状況を伝えている)




  • ▲“幸せの国”ではシャルル・ペローとの再会も。ここでドーロットの正体が明かされる。
  • ▲ドーロットの工房では、彼女が人形になりたい理由が語られることに。

 原点であるドーロットが最終的に自分自身の人形を作ったように、この想区のドーロットも自分の写し身となる“ドーロットという名の人形”を作り、それを失敗作として廃棄していた。

 このドーロットの名を持つ人形こそが、この想区のカオステラー“カオス・ドーロット”となっていたのだった。

  • ▲カオス・ドーロットは「みんなが人形になれば、欲望に流され過ちを犯すこともなくなる」と語り、人間を人形にするのは“救済”だと断言する。

 ドーロットに対し、“完璧な人形”を目指すためにともに行動しようと誘うカオス・ドーロット。

 “完璧な人形”を求めるドーロットだが、ゼペットは「永遠に綺麗なものになんざ興味がねーんだ」「見かけもなにもかもメチャクチャで、人形としては間違いだらけの代物だがよぉ、誰かの心には永遠に残り続ける…」「そういう人形を、オレは作りてーんだよ」という言葉を返していた。

 そしてドーロットは、その信念が美しいと共感をしたのだった。

 そんなドーロットの生い立ちについては、シャドウ襲来イベント“そして家族になる”で語られている。
(ドーロット本人ではなく、あくまでもその想区の登場人物であるため、実際の生い立ちと異なる部分があるかもしれないが、考え方の根底などには共通点があるはずだ)

 ドーロットいわく、「私の母は、不完全な人だった。人として足りないものがあまりに多すぎた。その血を受け継ぐ私もきっと、同じなのだろう」「そんな母は人形を偏愛し、自分も人形になりたいとよく言っていた」とのこと。

 ドーロットの父は仕事で忙しく、家に戻ることは少なかったようで、ドーロットの母はさみしさを覚えながらも「気にしないで、あなた。あなたが普段、どれだけお忙しいかは良く知っているつもりだから」と、自分の気持ちを抑えて良妻を演じていたようだ。


 そんな母に対して、ドーロットが父からもらった人形を渡した際には、ドーロットの母は「はぁ…。永遠に老いず、美しいままのこの子がとても羨ましい。私もいっそ、お人形になりたいわ」「そうすれば私だって永遠に若く、美しいままでいられて、あの方に愛して頂けるもの…」とこぼしている。


 さらには娘であるドーロットに対し、蔑むような目で見られたと激怒し、「あなた、早く私が死ねばいいと思ってるんでしょ? そうすれば自分があの方を独り占めできるって、そんなふうに思ってるんでしょ!」「言い訳したってダメよ! あの方に色目なんか使って…ああ、汚らわしい! あなたなんて産まなければよかった!」とヒステリックにわめく場面も。



 このあたりが、ドーロットの言うところの「(母は)人として足りないものがあまりに多すぎた」たる由縁なのだろう。

 結果、ドーロットの母は浴室で手首を切って自殺するのだが、ドーロットは父親に「むしろ、ホッとしたさ」「父さん、他所に女を作って、それでなかなか家に帰ってこなかったんだろ? 違うなんて言わせないよ」と、決別する。




 このように、母を含めた多くの者が、なぜ人形にひかれるのか。それは人形の普遍性へのあこがれなのか?

 そしてまたドーロットは、不完全な父と母の間に生まれた自分が“彼らに輪を掛けて不完全な存在”だと考え、だからこそ“完全な存在”としての人形に興味を持っていくことに。

 そんな疑問への答えを探すため、その想区のドーロットは、人形師の老人に弟子入りして、人形作りをしようとしていたのだった。

 弟子入りしてからわずか数カ月で師匠をうならせるほどの人形作りの腕前を見せ、その天才ぶりを発揮するドーロット。だが、師匠である老人の寿命は残りわずかで、ドーロットに奥義を伝授する時間がないほど、すぐ近くまで死が迫っていた。

 やがてカオステラーと化し、その想区を消滅させてシャドウと化してしまったシャドウ・ドーロットは、死の間際に娘とも呼ぶべき存在である自分が作った人形(フラムベイユ)から問いかけを受ける。「子にとっての親って、どういうものだと思う?」と。





 それに対するドーロットの答えは、「子にとっては創造主も同然だ。かつ、自分を教え導いてくれる存在でもある」と返すが、それを聞いたフラムベイユは、その定義に基づけば、自分にとってドーロットは母親も同然だと続けるのだった。







 「私、子供として、ドーロットを愛し抜くわ。だからドーロットも、私を子供として見てほしいの」と迫るフラムベイユを前にドーロットは「(親の情愛を知らない、人間として歪な存在である)私は誰かの親になどなれっこない」とたじろぐが、フラムベイユはドーロットに語りかけ続ける。






 「でも、両親からたくさんの愛情をもらった子供が、そうでない子供より優れているだとか、より完全だとか、そういう理屈はおかしいと思う」

 「そもそも、人間なんて欠点だらけで不完全なのが当たり前だと思うわ」

 「そして子供は、欠点だらけで不完全な親を反面教師として、育っていくものなんじゃないかしら?」と。

 どんなに言葉を重ねられても“完全”を求め続けてしまうサガを持つドーロットは、「そのこと自体、私が不完全な証なのだろう」と自嘲するが、そんな自分を受け入れてくれるフラムベイユに対して、ドーロットもまたフラムベイユを受け入れることを決める。





 「ご主人様とお人形ではなく、親と子に…」「本物の家族になろう、フラムベイユ」



 こうして、フラムベイユがドーロットに“救済の結末”を示したことでドーロットのシャドウ化はおさまり、新生“ピノキオ”の想区が生まれることになるのだった。

これがホントの、ドー(銅)ロット(ロッド)…

 余談だが、シンボル収集イベント“七人の悪魔科学者編”では、パラケルススの肉体を守る者の1人としてレヴォルたちの前に立ちふさがることに。










 その際、ドーロットがフラムベイユたちに両手杖(ロッド)を持たせているのを見たエレナが「これがホントの、ドー(銅)ロット(ロッド)…」とのたまい、ドーロットを怒らせてしまった。
(追い打ちをかけるようにパラケルススがドーロットを“爆笑王”扱いしてことで、さらに機嫌を損ねることに……)






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グリムノーツ Repage

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2016年1月21日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2016年1月21日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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