コンパクトでもゲームをガッツリ楽しめる究極のミニPC【ゲーミングPCレビュー前編】

後藤宏
公開日時

■ゲーミングPC並みの性能を備えたパワフルミニPC

 ゲーミングPCの要素として、重要なポイントのひとつが放熱性能です。PCゲームでは“緻密な空間表現”や“滑らかなキャラクターの動き”といった豊かな映像表現が魅力ですが、その反面、CPUやGPU(グラフィックチップ)が極めて高温になるため、効率的に放熱できる設計が求められます。そのため、ゲーミングPCは本体サイズが大きくなりがちです。置き場所が確保できず、ゲーミングPCの導入を見送っているユーザーも少なくないのではないでしょうか。

 そこで注目したいのが、ゲーミングPC並みの性能を備えながらも、一般的なデスクトップPCよりコンパクトなサイズを実現したサイコム社のBTOパソコン『Premium-Line Z690FD-Mini/D5』。ミドルタワーPCの約1/3程度のサイズの本体に、第12世代CoreシリーズやGeFoerce RTX 3060などを搭載したパワフルさが魅力のモデルです。前編ではサイズと性能をチェックしていきましょう(本記事は標準構成のモデルでレビューしています)。

超高性能をわずか16リットルに凝縮

 本製品の特徴は、やはり“サイズ”です。PCケースには、スウェーデンに本社を構えるFractal Design社のEra ITXを採用していて、フットプリントは、幅が166ミリで奥行きが325ミリ。一般的デスクトップPC(ミドルタワーPC)に比べて約1/2程度の面積です。また、高さは310ミリと多くのミニタワーPCよりも小さく、リビングのテレビ横などにも置けるほどのサイズになっています。

  • ▲標準構成では、CPUにCore i7-12700Kを採用し、メモリーは32GB(DDR5)、ストレージはSSD512GB(PCI-Express 3.0)を搭載。加えて、グラフィックにはMSI GeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OCを装備しています。また、各種インターフェイスも高速な最新規格に対応。わずか約16リットルの容積に、ゲーミングPC並みのパフォーマンスを凝縮しています。
  • ▲本製品を37型の液晶テレビと並べて配置。やや幅があるものの、高さはPlayStation 4 Proと同程度です。AVラックの奥行きに収まるサイズで、テレビ横に配置しても違和感はありません。スッキリしたデザインも好印象。
  • ▲筆者が仕事場で使用しているヤマハ社のパワードスピーカーとサイズを比較してみました。スピーカーよりも、ひと回り大きい程度。ゲーミングPCは、本体が巨大なモデルが多く、設置場所に困る場合もありますが、本製品であれば安心です。
  • ▲本体背面のインターフェイス部分。20Gbpsの超高速な転送速度を誇るUSB 3.2 Gen 2X2(Type-C)をはじめ、USB 3.2 Gen 2(Type-A)とUSB 3.2 Gen 1(Type-A)をそれぞれ2ポート装備。また、有線LANは2.5Gbps対応しており、通信回線の速度を存分に発揮できます。
  • ▲天板のウッドパネルパネルは、マグネットで固定されており、簡単に外せる構造になっています。付属のメッシュパネルに交換することで放熱効率を向上でき、本製品のパフォーマンスを若干アップすることが可能。性能を追求するなら、メッシュパネルがオススメです。

ゲーミングPC並みのパフォーマンス

 本製品に驚かされるのは、これだけコンパクトな筐体ながらも、ゲーミングPC並みのパフォーマンスを発揮できる点。CPUはCore i7-12700Kと、昨年10月末に発表されたばかりの新世代CPUをいち早く搭載。加えて、メモリーがDDR5規格、ストレージはPCI Express 4.0接続に対応と、データアクセスも現段階では最速な仕様を実現しています。

 一方、グラフィック処理には、MSIのGeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OCを搭載。ミドルクラスのグラフィックボードですが、フルHD環境でゲームをプレイする程度なら、快適にプレイできるパフォーマンスを備えている実力派です。さっそく、ベンチマークテストで、本製品の実力をチェックしてみます。

 まずは、PCゲームの中でも必要スペックのハードルが低い『ドラゴンクエストX オンライン』で小手調べ。テスト開始から終了まで、終始滑らかな動きで、結果は“すごく快適”でした。

  • ▲『ドラゴンクエストX オンライン ベンチマークソフト』のスコアは25095をマーク。多数のモンスターが登場するシーンでも映像にカクツキは見らませんでした。また、PCの動作音(ファンノイズ)は耳を澄まさないとわからないレベルで、パフォーマンスには、まだまだ余力を残しています。

 次は必要スペックが中量級に位置する『ファイナルファンタジーXIV』のベンチマークソフトで、本製品の実力を本格的にチェック。全シーンにわたりキャラクターの動きや背景のスクロールは滑らかで、グラフィック処理で気になる点はありませんでした。一方、動作音はテスト後半の処理が重くなっているシーンで、グラフィックボードのファンノイズがハッキリと聞こえました。静音性を重視する場合は、解像度や画像品質を調整する必要がありそうです。

  • ▲『ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク』では、フルHD表示の標準品質で計測。スコアは30485を叩き出し、評価は“非常に快適”を獲得しました。なお、最高品質でもテストしてみましたが、スコアが20971で、評価は“非常に快適”に。フルHD環境であれば、多くのゲームは快適に楽しめそうです。

 最後は、いわゆる重量級に属するゲーム『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』で、本製品をベンチマークテスト。最もパフォーマンスが求められる4K表示では、スクロールに微妙なカクツキが感じられ、グラフィック性能を限界まで使用している印象でした。

  • ▲『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク』は、4K表示の高品質で計測。スコアは3705で“普通”と評価されました。キャラクターの動きなどに影響があるほどのカクツキは感じられませんでしたが、動作中はグラフィックボードのファンが全力で、ファンノイズは少々気になるレベル。

 さて、ここまでは、本製品の最大の魅力と言える“コンパクトでハイパフォーマンス”という特徴をチェックしてきました。とはいえ、本製品の魅力は、サイズとパフォーマンスだけではありません。

 本製品を構成しているパーツは、サイコム社が選び抜いた逸品ばかり。近日公開予定の後編では、同社のこだわりが凝縮された、本製品の内部をチェックしていきます。

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら